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「熊にあったら死んだふり」は正しい?命を守る正しい方法を徹底解説!

熊にあったら死んだふりのサムネイル

「熊にあったら死んだふりをしろ」と昔から言われますが、これって本当に正しいんでしょうか。

最近は全国で熊の目撃情報や人身事故が相次ぎ、山間部だけでなく市街地でも熊と遭遇するリスクが高まっています。

実はこの「死んだふり」という対処法、専門家によると状況次第では命を落とす危険な行動なんです!

この記事では、熊に遭遇した際の正しい対処法と、絶対にやってはいけないNG行動を、実際の事例や専門家の知見をもとに分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 「死んだふり」が効果的な状況と危険な状況の見極め方
  • 熊と遭遇した距離別の正しい対処法
  • 襲われた際に急所を守る具体的な防御姿勢
  • 熊との遭遇を未然に防ぐ実践的な予防策
  • 専門家やアイヌの狩人が実践する生還テクニック

「熊にあったら死んだふり」は本当に正しいのか?

死んだふりをしている人の画像

死んだふりの効果は五分五分

「熊は死んだ動物を食べない」という俗説から広まったこの対処法ですが、専門家によれば助かる確率は五分五分だそうです。実際、死んだふりで助かったケースでも、重傷を負っているケースが多く報告されています。

明治時代の事例では、死んだふりをした男性が熊に27カ所も傷をつけられ、後遺症として片目、片手、片足を失った被害者もいます。熊は死んだ動物も食べるため、「動かないものは襲わない」というのは誤解なんですね。

死んだふりが命取りになる3つの状況

死んだふりが特に危険なのは、次の3つの状況です。

状況危険な理由
子連れの母熊に遭遇子を守るため神経質になっており、無防備な姿勢を脅威と判断して攻撃される
捕食目的で接近された場合生きた獲物を捕らえる本能で行動しているため、無抵抗な相手をそのまま食べる
人慣れした熊に遭遇人間の食べ物の味を覚えており、積極的に襲う傾向がある

特に注意したいのが子連れの母熊です。可愛い子熊を見つけても、絶対に近づいてはいけません。

近くには必ず母熊がいて、我が子を守るために非常に攻撃的になっています。

熊の種類と危険性を理解する

日本に生息する熊は主に2種類で、それぞれ特徴が異なります。

  • ヒグマ(北海道に生息)
  • ツキノワグマ(本州・四国に生息)

ヒグマ(北海道に生息)

体長1.7~2.8m、体重80~600kgという巨体を持つ、ホッキョクグマに次ぐ大型肉食動物です。

特徴的なのは「止め足」という高度な技を使える点。これは一度歩いた場所を同じ足跡で戻り、わきに飛ぶことで足跡を途切れさせる技術で、人間を警戒して逃げる時や、逆に人間を誘い込んで襲う時にも使われます。

1915年の三毛別事件では妊婦や子どもを含む死者7名、重傷者3名という日本最大の被害が出ました。山道でも時速50km(自転車より速い)で走れるため、走って逃げるのは絶対に不可能です。

ツキノワグマ(本州・四国に生息)

ヒグマよりは小柄ですが、それでも成獣は人間を襲える十分な力を持っています。

近年は市街地での目撃も増えており、2016年には秋田県で4人が複数のツキノワグマに食い殺される事件も発生しています。

距離別|熊と遭遇した時の正しい対処法

遭遇時の対処法は、熊との距離によって変わります。

距離対処法ポイント
50m以上静かに観察熊が立ち去るのを待つ、木の後ろに隠れるのも有効
10~50mにらみながら後ずさり背中を向けない、ゆっくり距離を取る
数m以内威嚇または防御姿勢大声で威嚇、物を振り回す/急所を守る姿勢

50m以上離れている場合:静かに観察

熊は臆病な動物で、50m以上離れていれば向こうから襲ってくることは通常ありません。静かにその場で観察し、熊が立ち去るのを待ちましょう。

また、動くものには目が早いですが、じっとしているものは何か判別できないという特性があります。山の中で離れた場所に熊を見つけた時は、木の後ろに隠れて木のふりをするのも有効です。

10~50m程度の場合:にらみながら後ずさり

この距離が最も微妙で判断が難しい状況です。熊は目が悪いため、人間が何なのか確認しようとじっと見てきます。

「怖がっていないぞ」と示すため、熊の目をにらみつけながら、ゆっくりと後ずさりして距離を取りましょう。背中を向けると追いかけてくる習性があるため、絶対に走って逃げてはいけません。

動物学者の今泉忠明先生も、10m程度の距離でツキノワグマと遭遇した際、仁王立ちでじっと立って睨みつけ、ゆっくり後退することで、熊のほうから立ち去った経験を語っています。

すぐ近く(数m以内)の場合:威嚇または防御姿勢

突然目の前に熊が現れた場合は、2つの選択肢があります。

選択肢1:強気に威嚇する

両手を高く上げて体を大きく見せ、「ワー!」と大声を出して威嚇します。熊は目が悪いのでびっくりして逃げていくことが多いです。実際、福島県で熊に遭遇した女性が大声を上げたところ、熊が驚いて山に立ち去ったケースも報道されています。

アイヌの狩人・姉崎等氏も「ウォーと大声を出す。もし可能なら、葉っぱの付いた枝でも釣り竿でも、クワでも振り回す」とアドバイスしています。ステッキやスコップ、ピッケルなどキラキラ光るものを振り回すと、熊の爪に見えて怖がるそうです。

ただし、「キャー」と甲高い声で叫ぶと弱い動物だと思われてしまうため、低く太い声で威嚇するのがポイントです。

選択肢2:首ガード・うつぶせ法

威嚇しても熊が突進してきた、または威嚇する余裕がない場合は、急所を守る防御姿勢をとります。

富山県の立山カルデラ砂防博物館の学芸員が推奨する「首ガード・うつぶせ法」は次の通りです。

  1. 地面にうつ伏せになる
  2. 両手で首の後ろをしっかりガードする
  3. 顔や腹部などの急所を守る

熊の攻撃は人間の顔や首の位置に集中する傾向があり、頸動脈や顔面を攻撃されると致命傷になります。リュックサックを背負っている場合は、腹部への攻撃を防ぐプロテクター代わりにもなります。

日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長も、8回襲われた経験から「ばったり出くわしたら、地面に伏せて首をガードし、1撃目を食らわないのが大事」と語っています。

熊との遭遇を防ぐ6つの予防策

最も重要なのは、熊と遭遇しないことです。山や熊の出没地域に入る際は、次の予防策を必ず実践しましょう。

  1. 最新の出没情報を確認する
  2. 音を出して存在を知らせる
  3. 単独行動を避ける
  4. 早朝・夕暮れ時は特に注意
  5. ゴミは絶対に持ち帰る
  6. 強い匂いを避ける

1. 最新の出没情報を確認する

登山やレジャーに出かける前、あるいは自宅近くでも、自治体や地域のウェブサイトで熊の出没情報を必ず確認しましょう。山間部では、ビジターセンターや登山道の管理事務所で直接情報を得るのも効果的です。

2. 音を出して存在を知らせる

熊は臆病な動物で、人の気配に気づけば自ら避けてくれることが多いです。鈴や笛、ラジオなどで常に音を出し、人間の存在を知らせることが大切です。

アイヌの狩人によれば、「ペットボトルなど自然界に存在しない音を熊は怖がる」とのこと。ペットボトルを叩いて音を鳴らして歩くのも効果的です。

熊よけにおすすめの鈴はこちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください!

3. 単独行動を避ける

できるだけ複数人で行動しましょう。複数人いることで声や気配が大きくなり、熊に気づいてもらいやすくなります。

4. 早朝・夕暮れ時は特に注意

熊の活動が活発になるのは、早朝や夕暮れ時、そして見通しの悪い霧の中です。この時間帯や天候を避け、日中の明るい時間帯に行動するよう心がけましょう。

5. ゴミは絶対に持ち帰る

食べ物のゴミは、熊を人里に引き寄せる大きな要因です。熊は一度人間の食べ物を食べると味を覚え、必ず同じ場所に戻ってきます。登山やレジャーで出たゴミはもちろん、家庭の生ゴミも適切に管理し、屋外に放置しないよう徹底しましょう。

6. 強い匂いを避ける

熊の嗅覚は犬の7~8倍と非常に鋭く、わずかな匂いでも遠くから感知します。特にハチミツや果実のような甘い香りは熊を強く引き寄せます。

山や熊の出没地域へ行く際は、柔軟剤や香り付きの洗剤、香水、制汗剤、歯磨き粉といった匂いの強い製品の使用を避け、無香料のものを選ぶか使用しないことで、熊を誘引するリスクを減らせます。

熊撃退スプレーは効果があるのか?

万が一の突進時に備え、熊撃退スプレーを携帯するのも有効です。スプレーを熊の目や鼻にめがけて一気に噴射することで、攻撃を止める効果が期待できます。

農作業や山間地域にお住まいの方、お子さんが登下校で山道を歩くような地域にお住まいの方は、護身用として検討する価値があるでしょう。

ただし、スプレーを使う際は風向きに注意してください。風上から噴射すると自分にかかってしまう可能性があります。

効果的な熊撃退スプレーは、こちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください!

熊に襲われた生還者の証言から学ぶ

実際にクマに襲われながらも生還した人は、どのような対応をとったのでしょうか?ここでは

  • 死んだふりで重傷を負った事例
  • 仁王立ちで威嚇して助かった事例

を紹介します。

死んだふりで重傷を負った事例

明治14年の事例では、舞茸採りに出かけた男性が熊と遭遇し、死んだふりをしました。熊は男性の体を散々打ち叩き、爪で傷つけた後、手を口に当てて呼吸の有無を確かめてから立ち去りました。男性は27カ所の傷を負い病院に運ばれました

別の生還者は次のように証言しています。
「”熊は死んだものは襲わない”と教えられていたのは嘘でした。熊は私の上に腰を下ろして長い爪で尻にズブリと刺しました。痛いのでビクッと動くとウワッと唸って咬みつきました。ひっくり返すやら手玉に取ったり、まるで熊のおもちゃでした。追っ手の人が来て仕止めてくれましたが、片目、片手、片足になりました

仁王立ちで威嚇して助かった事例

一方、強気な対応で助かったケースもあります。動物学者の今泉忠明先生は、10m程度の距離でツキノワグマと遭遇した際、仁王立ちでじっと立って睨みつけ、ゆっくり後退することで、熊のほうから立ち去ったと語っています。

90代の女性が熊手を振り上げて助かった例もあり、積極的な威嚇が効果を発揮するケースは少なくありません。

FAQ|熊に関するよくある質問

ここでは、熊との遭遇や対処法に関するよくある質問にお答えします。

  • 熊にあったら死んだふりは有効?
  • 熊は本当に人間が走るより速いの?
  • 熊除けの鈴は意味がある?
  • 木に登れば助かる?
  • 熊の攻撃は痛い?
Q
熊にあったら死んだふりは有効?
A

状況次第で効果が変わります。死んだふりで助かる確率は五分五分と言われており、重傷を負うケースも多いです。

特に子連れの母熊や捕食目的で近づいてきた熊には逆効果で、命の危険が高まります。基本的には「にらみながら後ずさり」または「急所を守る防御姿勢」のほうが安全です。

Q
熊は本当に人間が走るより速いの?
A

はい、熊は時速50km(自転車より速い)で走れます。人間の最高速度は時速30km程度なので、走って逃げ切ることは不可能です。熊には走るものを追いかける習性があるため、背中を見せて走ると余計に危険です。

Q
熊除けの鈴は意味がある?
A

非常に有効です。熊は臆病な動物で、人の気配に気づけば自ら避けてくれることが多いです。鈴や笛、ラジオなどで音を出し続けることで、熊との遭遇を未然に防げます。アイヌの狩人も「ペットボトルなど自然界に存在しない音を熊は怖がる」と語っています。

Q
木に登れば助かる?
A

助かりません。熊は木登りが得意で、特にツキノワグマは木に登る能力に優れています。ヒグマも若い個体なら木に登れます。木に登って逃げるのは有効な手段ではありません。

Q
熊の攻撃は痛い?
A

生還者の証言によれば、激痛を伴います。長い爪が体に刺さる痛み、噛まれる痛みは想像を絶するものです。重傷を負ったり後遺症が残るケースも多く、命が助かっても片目、片手、片足を失った例もあります。だからこそ、急所を守る防御姿勢が重要なのです。

まとめ

「熊にあったら死んだふり」という昔からの常識は、状況によっては命を落とす危険な対処法です。死んだふりで助かる確率は五分五分で、重傷を負ったり後遺症が残るケースも多く報告されています。

熊と遭遇した際の正しい対処法は距離によって変わります。

熊と遭遇した際の正しい対処法

最も大切なのは、熊と遭遇しないこと。鈴や笛で音を出す、単独行動を避ける、早朝・夕暮れ時を避ける、ゴミを持ち帰る、強い匂いを避けるといった予防策を必ず実践しましょう。

近年は市街地でも熊の目撃が増えており、誰もが遭遇する可能性があります。この記事で紹介した正しい知識と対処法を覚えておくことで、いざという時に命を守れるはずです。

山や熊の出没地域に行く際は、熊撃退スプレーの携帯も検討してみてください。