ネズミ

犬と猫のネズミ感染症|レプトスピラ症の危険性と対策を徹底解説!

ペット ネズミ 感染症のサムネイル

ペットを飼っていると、家の中や散歩中にネズミの痕跡を見かけて不安になることはありませんか?

実は、ネズミはペットに深刻な感染症を引き起こす原因になります。特に注意したいのが、レプトスピラ症という病気です。この感染症は犬や猫だけでなく、人にも感染する人獣共通感染症として知られています。

実際に、神奈川県や東京都内で感染事例が報告されており、住宅街の公園や排水溝の近くでも感染リスクがあります。

この記事では、ネズミが媒介するペットの感染症について、症状や予防法、ワクチンの必要性まで詳しく解説します。

この記事でわかること
  • ネズミが原因でペットにかかる感染症の種類と危険性
  • レプトスピラ症の具体的な症状と進行パターン
  • 犬と猫で異なる感染リスクと注意点
  • 効果的な予防法とワクチン接種の必要性
  • 人への感染リスクと家族全員で取るべき対策

ネズミが媒介するペットの感染症「レプトスピラ症」とは

ネズミを嗅ぐ犬の画像

ネズミは、さまざまな病原体を運ぶ動物として知られています。その中でも、ペットに最も深刻な影響を与えるのがレプトスピラ症です。

レプトスピラ症とは

レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌が引き起こす感染症で、ネズミやイノシシなどの野生動物の尿中に含まれています。この細菌は湿った土や水の中で生き続け、ペットがそれに触れることで感染します。

特に気をつけたいのは、都市部でも感染リスクがあるということです。2024年秋には東京都錦糸町で犬2頭が感染して亡くなり、2025年1月には神奈川県藤沢市でも感染が報告されました。

これらは自然豊かな山間部ではなく、私たちが日常的に生活する都市部でのできごとです。

レプトスピラ菌の特徴

レプトスピラ症を引き起こすレプトスピラ菌は、らせん状の形をした細菌で、次のような特徴があります。

特徴詳細
形状らせん状(スピロヘータの一種)
生存環境湿った土、水中(0~25℃)
生存期間汚染された水中で約1週間
好む条件中性からアルカリ性、湿度が高い環境
発生時期雨季や台風後に増加しやすい

レプトスピラ菌は、湿った環境を好むため、雨が降った後の水たまりや、いつもじめじめしている場所で繁殖しやすくなります。特に梅雨時期や台風シーズンは要注意です。

また、

ネズミの尿が感染源になる!

レプトスピラ症の感染経路は主に次の3つですが、最も多いのは経口感染です。

感染経路具体例
経口感染汚染された水や食べ物を口にする
経皮感染傷ついた皮膚から菌が侵入する
粘膜感染目や口、鼻の粘膜から菌が入り込む

ネズミはレプトスピラ菌を体内に保有していても、ほとんど症状を示しません。そのため、元気に動き回りながら尿を通じて菌をまき散らします。この尿で汚染された場所を、ペットが舐めたり触れたりすることで感染するのです。

ネズミの尿が残りやすい場所としては、次のようなところが挙げられます。

  • 公園の排水溝や水たまり
  • 住宅街のゴミ置き場周辺
  • 田んぼや畑の近く
  • 川沿いや湿地帯
  • 古い建物の床下や屋根裏

これらの場所を散歩コースにしている場合や、家の周りにネズミが出入りしている形跡がある場合は、特に注意が必要です。

また、ケガをしている状態で汚染された場所を歩くと、傷口から菌が入り込むリスクも高まります。

レプトスピラ症は人獣共通感染症

レプトスピラ症は、ペットだけでなく人にも感染する人獣共通感染症です。犬や猫が感染すると、その尿や唾液にも菌が含まれるため、飼い主さんがそれに触れることで感染するリスクがあります。

人が感染すると、発熱や頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。重症化すると、黄疸や腎不全、肝不全を引き起こし、「ワイル病」と呼ばれる状態になることもあります。

ただし、人から人への感染はないとされています。感染源はあくまでも動物の尿や汚染された環境です。

ペットの症状|犬と猫で違いはある?

レプトスピラ症に感染すると、ペットにはどのような症状が現れるのでしょうか。犬と猫では、感染のしやすさや症状の出方に違いがあります。

犬に現れる症状

犬は、レプトスピラ症に感染しやすく、症状も重くなりがちです。感染初期には風邪のような症状が見られますが、進行すると命に関わる深刻な状態になります。

症状の段階主な症状
初期症状発熱(39~40℃)、食欲不振、元気がない、嘔吐、下痢
進行期黄疸(白目や歯茎が黄色くなる)、血尿、血便、鼻出血
重症期腎不全、肝不全、多臓器不全、ショック症状

特に注意すべきは、初期症状が風邪と似ているため見逃しやすいという点です。「ちょっと調子が悪いだけかな」と思っていると、数日で急速に悪化することがあります。

また、レプトスピラ症には「レプトスピラ性肺出血症候群」という合併症もあり、これが起こると肺から出血して呼吸困難に陥ります。治療が遅れると、短期間で命を落としてしまうケースも少なくありません

回復後も続く後遺症

レプトスピラ症は、たとえ治療がうまくいって回復しても、腎臓や肝臓に深刻なダメージが残ることがあります。その場合、生涯にわたって特別な食事療法や投薬が必要になり、飼い主さんの負担も大きくなります。

実際に、慢性腎臓病の犬を検査すると、高い確率でレプトスピラが検出されるというデータもあります。つまり、過去にレプトスピラに感染していたことが、慢性的な腎臓の問題につながっている可能性があるのです。

猫はどうなの?

猫もレプトスピラ症に感染することはありますが、犬に比べると発症しにくいとされています。これは、猫がもともとレプトスピラ菌に対して抵抗力を持っている可能性があるためです。

ただし、発症すると犬と同様に急性腎障害を起こすことがあります。特に、原因不明の重度の腎不全を起こした場合は、レプトスピラ症の可能性を疑って検査することが推奨されています。

猫は狩りの本能でネズミを捕まえることがあるため、野良猫や外に出る猫は感染リスクが高くなります。完全室内飼いであれば、犬ほど神経質になる必要はありませんが、家の中にネズミが出入りしている場合は注意が必要です。

人への感染リスク|家族全員が注意すべきこと

レプトスピラ症は人獣共通感染症なので、ペットが感染すると飼い主さんにも感染するリスクがあります。ただし、正しい知識を持って対応すれば、過度に恐れる必要はありません。

人が感染する経路

人がレプトスピラ症に感染する主な経路は、次の通りです。

感染経路具体例
ペットの尿や唾液感染したペットの排泄物に素手で触れる
汚染された環境ネズミの尿で汚染された水や土に触れる
アウトドア活動川遊びやキャンプで汚染された水に接触する

ヨーロッパのデータでは、人への感染のほとんどが汚染された水への接触によるものとされています。つまり、ペットから直接感染するケースは比較的少ないということです。

とはいえ、ペットが感染している場合は、その尿や唾液を通じて家族が感染するリスクはゼロではありません。特に小さなお子さんや高齢の方、免疫力が低下している方は注意が必要です。

人が感染したときの症状

人がレプトスピラ症に感染すると、次のような症状が現れます。

  • 発熱(38~39℃)
  • 頭痛
  • 筋肉痛(特に太ももやふくらはぎ)
  • 悪寒
  • 目の充血
  • 黄疸(重症化した場合)
  • 腎不全、肝不全(重症型:ワイル病)

軽症であれば風邪のような症状で済みますが、重症化すると入院が必要になり、最悪の場合は命に関わることもあります。

家族を守るための対策

ペットがレプトスピラ症に感染した、または感染が疑われる場合は、次の対策を徹底しましょう。

  • 手袋を着用する:ペットの排泄物を処理するときは必ず手袋をつける
  • 手洗いの徹底:ペットに触れた後は石鹸でしっかり手を洗う
  • 消毒を行う:ペットが使った場所や道具を消毒する
  • 傷がある場合は接触を避ける:手にケガがあるときは特に注意

また、ペットの体調に異変を感じたら、早めに動物病院を受診することが大切です。早期発見・早期治療が、ペットだけでなく家族全員の健康を守ることにつながります。

予防法とワクチン接種の必要性

レプトスピラ症は、予防できる病気です。ワクチン接種と日常的なケアを組み合わせることで、感染リスクを大幅に減らせます。

レプトスピラ症のワクチンとは

レプトスピラ症には、予防用のワクチンが存在します。日本で入手できるワクチンは、複数の血清型に対応した混合ワクチンです。

ただし、レプトスピラには8種類以上の血清型があり、ワクチンがカバーするのはそのうちの数種類です。それでも、主要な血清型を予防しておけば、他の型に対してもある程度の防御効果が期待できるとされています。

ワクチンの種類特徴
5種混合ワクチンレプトスピラ非対応
6種混合ワクチンレプトスピラ非対応
8種混合ワクチンレプトスピラ対応(2~4種類の血清型)
10種混合ワクチンレプトスピラ対応(4種類の血清型)

レプトスピラ症は、犬のワクチンの中でコアワクチン(必ず接種すべきワクチン)には分類されていません。そのため、5種や6種のワクチンを接種している場合は、レプトスピラの予防はできていないことになります。

ワクチンの接種スケジュール

レプトスピラ症のワクチンは、次のようなスケジュールで接種します。

  1. 初回接種:2~4週間の間隔をあけて2回接種
  2. 追加接種:以降は年1回の接種で抗体を維持

ワクチンの効果は、最大15か月程度持続するとされていますが、個体差があります。確実に予防するには、毎年1回の追加接種が推奨されます。

ワクチンの副反応は心配ない?

「レプトスピラのワクチンは副反応が多い」と聞いたことがある方もいるかもしれません。確かに、20年ほど前のワクチンでは、400頭に1頭の割合でアナフィラキシーが起こっていました。

しかし、現在のワクチンは大幅に改良されており、安全性が高いことが分かっています。

副反応の種類発生率
軽い副反応(発熱、食欲不振など)53.1/10,000頭(約0.5%)
全身性の副反応(アナフィラキシーなど)6.5/10,000頭(約0.07%)

つまり、99%以上の犬は副反応なく接種できるということです。レプトスピラを含まないワクチンでも副反応は起こり得るので、レプトスピラワクチンだけが特別に危険というわけではありません。

日常生活での予防対策

ワクチン接種に加えて、日常生活でも次のような予防対策を心がけましょう。

予防対策具体的な方法
散歩中の注意水たまりや湿った土を避ける、地面を舐めさせない
散歩後のケア足をきれいに洗う、タオルで拭く
雨の日の対策雨上がりの散歩は特に注意、レインコートを着用
ネズミ対策家の周りのネズミを駆除する、侵入経路を塞ぐ
アウトドア時川や池に入らせない、山道では水を飲ませない

特に、雨が降った後はレプトスピラ菌が繁殖しやすい環境になります。散歩中に水たまりで遊ばせたり、地面をペロペロ舐めたりするのを防ぐことが大切です。

ネズミ駆除も重要な予防策

家の中や周辺にネズミが出入りしている場合は、ネズミ駆除も並行して行うことが重要です。ネズミがいる限り、レプトスピラ菌が環境中に存在し続けるためです。

ネズミ駆除の方法としては、次のようなものがあります。

  • 粘着シートや捕獲カゴを設置する
  • 毒餌を使用する(ペットが誤食しないよう注意)
  • 専門業者に依頼する
  • 侵入口を塞ぐ(隙間を埋める、金網を設置する)

自力での駆除が難しい場合は、害獣駆除の専門業者に相談するのも一つの方法です。

感染が疑われる場合の対処法

もし愛犬や愛猫に以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。

注意すべき症状のチェックリスト

  • 急な発熱(39℃以上)
  • 食欲がなくなり、元気がない
  • 嘔吐や下痢が続く
  • 白目や歯茎が黄色くなっている(黄疸)
  • 血尿や血便が出る
  • 鼻血が出る
  • 呼吸が苦しそう

これらの症状は、レプトスピラ症の典型的なサインです。特に、散歩や外出の後に症状が現れた場合は要注意です。

動物病院での診断と検査

動物病院では、次のような検査でレプトスピラ症を診断します。

検査方法内容
血液検査抗体の量を測定して感染を確認
PCR検査尿や血液からレプトスピラの遺伝子を検出
培養検査細菌を培養して血清型を特定

抗体検査は複数回行う必要がある場合もあります。また、PCR検査は感染のタイミングによって検出しやすさが変わるため、検査結果が出るまで数日かかることがあります。

早期発見・早期治療が何よりも重要なので、症状が軽くても「様子を見る」のではなく、すぐに獣医師に相談することをおすすめします。

治療方法と費用の目安

レプトスピラ症の治療は、抗生物質の投与が基本です。初期段階であれば、ドキシサイクリンという抗菌薬を1日2回、2週間にわたって投与することで治療できます。

症状が重い場合は、点滴治療や腎臓・肝臓の機能をサポートする薬が必要になり、入院治療が選択されることもあります。

治療内容費用の目安
通院治療(抗生物質注射)1回あたり約5,000円
内服薬(2週間分)約5,000~10,000円
入院治療1日あたり約20,000~30,000円
入院期間最低でも1週間程度

入院治療になると、トータルで15万円~20万円以上かかることもあります。また、退院後も定期的な通院や投薬が必要になることもあり、経済的な負担も小さくありません。

だからこそ、予防が最も重要なのです。ワクチン接種や日常的なケアにかかる費用は、治療費に比べればはるかに少なく済みます。

FAQ|よくある質問

ここでは、ペットとネズミの感染症に関するよくある質問にお答えします。

  • レプトスピラ症はどうやって予防すればいい?
  • 室内飼いの犬でもワクチンは必要?
  • 猫もレプトスピラ症にかかるの?
  • ペットから人にうつることはある?
  • ワクチンの副反応が心配です
  • 治療すれば完全に治る?
Q
レプトスピラ症はどうやって予防すればいい?
A

最も効果的なのはワクチン接種です。8種混合以上のワクチンを選び、年に1回の追加接種を続けることで、感染リスクを大幅に下げられます。

また、日常生活では次の点に注意してください。

  • 散歩中に水たまりや湿った土を避ける
  • 地面を舐めたり、水を飲んだりさせない
  • 散歩後は足をしっかり洗う
  • 家の周りのネズミを駆除する

これらを組み合わせることで、より確実に予防できます。

Q
室内飼いの犬でもワクチンは必要?
A

完全に室内だけで過ごす犬であれば、感染リスクは低いです。しかし、散歩で外に出る犬や、ドッグランに行く犬は、ワクチン接種を推奨します。

世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでも、外出する犬にはレプトスピラワクチンの接種が推奨されています。特に、次のような場合は接種を検討しましょう。

  • キャンプやハイキングに連れて行く
  • 川や池の近くを散歩する
  • 田んぼや畑の近くに住んでいる
  • 都市部でもネズミをよく見かける
Q
猫もレプトスピラ症にかかるの?
A

猫も感染することはありますが、犬に比べると発症しにくいとされています。ただし、発症すると急性腎障害を起こすことがあります。

特に、外に出る猫や野良猫は、ネズミを捕まえることで感染リスクが高まります。完全室内飼いであれば、過度に心配する必要はありませんが、家の中にネズミが出入りしている場合は注意してください。

なお、現在のところ、猫用のレプトスピラワクチンは一般的ではありません。予防のためには、室内飼育を徹底し、ネズミとの接触を避けることが大切です。

Q
ペットから人にうつることはある?
A

可能性はゼロではありませんが、比較的少ないとされています。人への感染のほとんどは、ネズミの尿で汚染された水や土に触れることが原因です。

ただし、ペットが感染している場合、その尿や唾液にも菌が含まれるため、次の対策を徹底しましょう。

  • 排泄物の処理は手袋を着用する
  • ペットに触れた後は必ず手を洗う
  • 手にケガがあるときは接触を避ける
  • ペットが使った場所を消毒する

正しい対処をすれば、家族への感染リスクは最小限に抑えられます

Q
ワクチンの副反応が心配です
A

現在のレプトスピラワクチンは、安全性が高いことが証明されています。副反応の発生率は1%以下で、99%以上の犬は問題なく接種できます。

もし副反応が心配な場合は、次の対策を取りましょう。

  • 接種後30分は病院の近くで様子を見る
  • 接種後24時間は激しい運動を避ける
  • 異変があればすぐに動物病院に連絡する

かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬に最適なワクチンを選んでください。

Q
治療すれば完全に治る?
A

早期発見・早期治療ができれば、抗生物質で治すことが可能です。ただし、病気が進行して腎不全や肝不全を起こしてしまうと、治療が難しくなります。

また、治療がうまくいっても、腎臓や肝臓にダメージが残ることがあります。その場合、生涯にわたって食事療法や投薬が必要になることもあります。

だからこそ、予防が何よりも大切なのです。ワクチン接種と日常的なケアで、愛犬や愛猫を守りましょう。

まとめ

ペットとネズミの感染症、特にレプトスピラ症は、予防できる病気です。ワクチン接種と日常的なケアを組み合わせることで、大切な家族を守れます。

この記事のポイントまとめ
  • ネズミはレプトスピラ症の主な感染源であり、都市部でも感染リスクがある
  • レプトスピラ症は人にも感染する人獣共通感染症で、家族全員の健康に関わる
  • 犬は感染しやすく、重症化すると命に関わるが、猫は比較的発症しにくい
  • ワクチン接種が最も効果的な予防法で、現在のワクチンは安全性が高い
  • 散歩中の注意、散歩後のケア、ネズミ駆除も重要な予防策
  • 症状が現れたらすぐに動物病院を受診し、早期治療を心がける

「うちは山や川に行かないから大丈夫」と思わず、都市部でもリスクがあることを理解して、ワクチン接種を検討してください。また、家の周りにネズミの痕跡がある場合は、駆除対策も並行して行いましょう。

予防は治療よりもはるかに簡単で、費用も少なく済みます。大切な家族の命を守るために、今日から行動を始めましょう。